ガレージの計画

大切な車を守るために

「少し前までは、青空駐車で問題ないと考えていたのですが・・・」

最近になって車庫の建築計画の相談が増えています。

背景には治安の低下、異常気象による雹などの災害暮らしの満足度の向上など総合的な理由があるようです。

みんなが知っている100人乗って大丈夫なあのメーカーから、軸組工法でつくるオリジナルガレージまで。

株式会社阿部設計では、幅広くガレージ関係のお仕事をさせていただいています。

今回はそこで見えてきたガレージ計画の要点についてお話しさせていただこうと思います。

ガレージ計画の注意点

以下、ガレージ計画の注意点を箇条書きに紹介させていただきます。

知らないうちに法律違反をしているケースも多いのでご注意ください。

  • 自動車進入口の間口が大きくなりがりなので、希望の開口幅がとれるか要検討。
  • 耐力壁のとれる位置が限られてくるので、建物の安全性を確認。
  • 内装制限があるのでOSB等の木仕上げはNG
  • 規模が小さいから大丈夫と確認申請を提出しない業者

それでは、細かく解説させていただきます。

自動車進入口の間口が大きくなりがち

車庫への出入り口はゆとりをもった寸法が欲しくなるため、開口幅が大きくなりがちです。

しかし工法によっても異なりますが、建物を安全に保つことのできる寸法というものがあります。

「これくらいの間口であれば、これくらいの部材が必要」

とくに在来工法だと大スパンを飛ばすためには大きな梁が必要になるので、構造の検討を怠ると不経済な建物になってしまいます。

間口の広いガレージは計画の初期段階から安全な建物の検討をする必要があります。

耐力壁のとれる位置

耐力壁はざっくりというと、建物を支える壁のことです。

多ければ多いほど建物の安全性は増します(もちろんバランスにも注意が必要ですが)

ガレージはその性質上、車の進入口がある面の耐力壁が少なくなりがちです。

逆にそれ以外の壁は、たっぷりと耐力壁がとれるので何も考えていないとすごくバランスの悪い建物ができあがってしまいます。

どの位置にどんな材料で耐力壁を作るかしっかり検討することが安全なガレージを作るうえでとても大切なポイントになります。

内装制限に要注意

車庫は建築基準法上、火気になるので火気を使用する室には内装制限が適用されます。

簡単にいうと火を使う部屋では燃えにくい材料で仕上げてくださいね、というものです。

つまり車庫の内装に木でつくられたOSB等で仕上げることは、基本的にはできません。

雑誌などに掲載されている木造のカッコいい車庫、あれは基本的には違法となります。

建築基準法は命を守るための法律となっています。

できれば守っていただきたいものです。

確認申請を提出しない

規模が小さいガレージだから問題ないといって確認申請を提出しない業者がいます。

本当に出さなくて大丈夫だと思っているのか?嘘をついているのか?分かりませんが。

基本的には10㎡以上の建築物を建てる場合は、確認申請が必要です。

10㎡というとピンとこないかもしれませんが、だいたい6畳程度の大きさが10㎡です。

メートル換算だと3m×3m=9㎡くらいです。

知らない間に自分の敷地に違法建築物が建っていた、なんて状況にならないようにご注意ください。

「床面積10㎡以上ですが確認申請は大丈夫ですか?」

この質問の回答で業者の考え方がチェックできると思いますので聞いてみるのもよいでしょう。

納得のいく計画を

予算、工期、使用方法など。

ガレージに対して重視するポイントは人それぞれです。

既製品からオリジナルガレージまで幅広く検討し、コストとパフォーマンスに優れた計画を行いたいものです。

「漠然とガレージが欲しい」から「なぜ自分はガレージが必要なのか?」へ。

一歩進んだ視点で考えることで、きっと満足のいく計画ができると思います。