長屋と共同住宅の違い
アパートと言われましても
「良い土地があるからアパートを建てたいんだ」
なんとも羨ましいお話ですが、集合住宅の打合せを行うときにまず確認しなければいけないことがあります。
それは「建てたいアパートは、長屋ですか?共同住宅ですか?」ということ。
見た目がほぼ同じように見えても長屋か共同住宅かで、建築基準法の解釈が全然違うのです。
長屋と共同住宅の違い
一般的にアパートと言われるとイメージされるのが、木造2階建て程度で入り口が部屋ごとに分かれている。
マンションよりも規模は小さく手軽に借りられる価格帯のもの、でしょうか。
実は建築基準法上、アパートという用途はありません。
用途として登録されているのは、共同住宅と長屋になります。
共同住宅と長屋の一番の違いは「共用部」があるかないか?です。
共用部、つまり共同で使用する階段や廊下がある場合は共同住宅となります。
逆に共用部がない場合は、長屋となるのです。
特殊建築物か否か?
建築基準法上、建築物には用途ごとにコードが割り振られています。
- 一戸建ての住宅 08010
- 長屋 08020
- 共同住宅 08030
このコードによってその建物に必要な法基準が変わってくるのです。
つまり長屋と共同住宅は、建築基準法上は全くの別物となります。
共同住宅は建築基準法の特殊建築物というものに該当するので、特殊建築物ではない長屋に比べて建築の難易度がぐっと高くなります。
簡単に言うと特殊建築物とは、不特定多数の人が使うので安全面をよりしっかりと検討しなさい、という建物です。
※もちろん例外はありますがおおむねこの認識でよいと思います。
安全面のグレードアップが必要ということはどのようなことでしょうか?
例えば長屋の計画では必要なかった非常用照明や消防設備の設置義務、避難通路の確保等、数え上げればキリがありません。
当然、設計費や工事費の上昇も考えられるので、計画の初期に建てたい建築がどちらなのか整理することはとても大切なことになります。
自分のまわりにあるアパートが長屋なのか?共同住宅なのか?
じっくり観察してみるのも面白いかもしれませんね。